次亜塩素酸水の作り方は?


今、新型コロナウイルスの感染対策に関連して、次亜塩素酸水が注目を集めています。

本記事を書いている数日前の2020年6月26日に独立行政法人製品評価技術基盤機構(通称nite)が一定濃度以上(有効塩素濃度35ppm以上)の次亜塩素酸水について新型コロナウイルスへの効果があることを認めたことでより注目度が大きくなっています。

しかし購入しようとした皆さんの中には、「次亜塩素酸水ってちょっと高い…。自分で使う用だし安く作れないかな。」と思われた方もいるのではないでしょうか。もし作れるなら作り方を知りたいと思いますが、そもそも自分で作ることができるのか否か解説していきたいと思います。

次亜塩素酸水生成器

そもそも次亜塩素酸水は電気分解して生成する方法と二液を混合希釈して生成する方法があります。前者の電気分解をするということは、それなりの機器が必要になります。

今ネットで検索すると実に多くの製品がヒットしてきます。作り方は炭酸水+食塩+水道水を使うものや次亜塩素酸ナトリウム+希塩酸を使うもの、それから食塩+水だけでできるものなど様々あります。

そしてその価格も千差万別、本格的なものは200万円くらいします。同じ次亜塩素酸水を作る機械のはずなのに価格も材料も全く違うというのは不思議な印象を受けます。実は次亜塩素酸水はまだ定義がはっきりと確立されていない水溶液なので、生成方法も原料も異なってしまうのです。

ただ、一つだけ注意していただきたいのは次亜塩素酸水生成器としてヒットしてくる製品の中には電解次亜水という別の水溶液の生成器が出てくるということです。そしてこの方が安価な製品が多いように感じます。

次亜塩素酸水と電解次亜水はとても似ていますが、まず前者が酸性なのに対して後者はアルカリ性という違いがあります。電解次亜水はpH値7.5以上(要するにアルカリ性)の水溶液のことを指すのです。電解次亜水も消毒液として用いることができるのでこれが悪いとは言いませんが次亜塩素酸水と同じものと思わないように注意してください。

電解次亜水はpHが7.5以上ですので、pH7.5程度の弱アルカリ性であればそこまで問題ないという意見もありますが、もしpH値が高くなり、よりアルカリの強度が高くなってしまったら要するにハイターやカビキラーと同じような水溶液になってきますので使用方法に十分注意しないと人体に悪影響を及ぼすことになります。

また、次亜塩素酸水は食品添加物としての定義が存在しますので市販の次亜塩素酸水もその定義に合わせてpH値や塩素濃度によって弱酸性や微酸性などの記載をしています。しかし、電解次亜水には塩素濃度の制限がありません。電解次亜水はそのままでは次亜塩素酸水に比べて除菌力が劣りますので、塩素濃度を上げている場合があります。

しかし塩素濃度が高まれば良いことばかりかというとそうではありません。やはり残留塩素が多くなると人体への影響も考えられます。メーカーのホームページなどでは赤ちゃん用品に使ったり、食器や調理器具に使ったりすることも推奨していますが、次亜塩素酸水と同様の認識で洗い流さずそのまま使用すると人体に有害かもしれませんので、利用する際は気を付けていただきたいと思います。

ただ、それでは電解次亜水はデメリットしかないのかというとそうではありません。次亜塩素酸水は持続力が弱いとされていますが電解次亜水は次亜塩素酸水に比べて除菌力が持続すると言われています。

このため生成器を購入する際はどんな水溶液ができるのかしっかり確認して、使い方などをよく読んでから購入いただきたいと思います。

市販の「次亜塩素酸の素」を使う

コストを下げるという意味で次に思いつくのは、市販の「次亜塩素酸水の素」を使って作る方法です。どういうことかというと、市販の次亜塩素酸水には濃度の高いタイプやパウダー状のものなど自分で必要な濃度に薄めて使用するタイプのものがあります。しかし、そもそも濃度を自分で調整する製品の場合、販売時点では次亜塩素酸水ではないので注意が必要です。なぜなら販売時点では非常に塩素濃度が高い状態になっているからです。

こういったタイプの製品のメリットは何と言ってもすぐに使える次亜塩素酸水よりもコストが圧倒的に安いことです。しかしデメリットはやはりしっかり計量して希釈しないと場合によっては次亜塩素酸水として安全に使えないことや正しく管理しないとすぐに劣化してしまう可能性があることなどが挙げられます。きっちり計量することが問題ない方は毎回1回分ずつ量を作って使用するということができるかもしれません。ただ、そんなに少量で作るとなるとそもそも計るのが大変ですし、何度も作るとなると手間にもなります。

すぐに劣化してしまうというのは、そのまま使えるスプレーボトルタイプでも同じですが次亜塩素酸水は熱に弱く、高い温度のところに置くと塩素濃度が低くなってしまい、思ったほどの効果が得られなくなってしまうのです。

このため市販されているスプレーボトルは遮光性などの性能をもっていて温度が上がらないようにして長期保存できるようにされています。(物によると思いますのでしっかり確認していただく方が良いと思います。)自分で作る際にも保管する時はそういった遮光性のスプレーボトルなどを使い劣化を防ぐようにしましょう。

二液混合で作る

Webで作り方を検索すると、次亜塩素酸ナトリウムに炭酸水を混ぜるなどして次亜塩素酸水を作るやり方を紹介しているサイトもあります。

こちらも十分な知識があって、pH試験紙などもきちんと用意してしっかりpH値を計って使用するというならできるかもしれません。しかし、効果の程がどの程度かは自分では計れないので効いているかどうかは定かではないと理解しておいた方が良いと思います。

こういった作り方で作る時も、前にお伝えしたようにきちんと管理して使用するようにしましょう。

まとめ

以上、次亜塩素酸水を作る方法についてご紹介させていただきました。現在、次亜塩素酸水は急激に注目を集めるようになりましたが、まだ明確な定義が存在していないのも事実です。情報がたくさんあるからこそどの情報が正しいのか吟味していただきたいと思います。このため、自分で作るにしろ、市販の製品を購入するにしろ、使用方法をよく読んで正しく使うようにしていただければと思います。

次亜塩素酸水が人気のポイントはウイルスや菌の除菌・殺菌力が高い上に安全性も高いという点です。自分で作ることによってその安全性が損なわれないように気を付けましょう。

また、安価で簡単に自作できる消毒液としてはキッチンハイターなどの次亜塩素酸ナトリウムを含んだ塩素系漂白剤を水で薄めるという方法があります。塩素系漂白剤は各家庭に何かしら一つは置いてあるのではないでしょうか。注意していただきたいのはこうしてできた水溶液はアルカリ性で人体に直接触れると有害であるということです。使用するときは必ず注意事項を守って使用しましょう。

しかし、手軽に作れて殺菌力があることは間違いありません。作り方は自治体のHPなどでもよく紹介されています。


新型コロナウイルス消毒の希釈方法

新型コロナウイルス対策で、調理器具、トイレのドアノブ、便座、衣類等を消毒する場合は、約0.05パーセント濃度の希釈液を使用します。
(図は市販の原液濃度5パーセントの塩素系漂白剤を使用したときの目安です)

原液濃度が5パーセントから6パーセントの塩素系漂白剤を使用する場合は、500ミリリットルのペットボトル1本の水に、5ミリリットル(ペットボトルのキャップ1杯)の塩素系漂白剤を入れます。

使用するときの注意事項
・手指の消毒には絶対に使用しないでください。
・使用する際は十分に換気してください。
・有害ガスが発生するため、酸性のものと混ぜて使用しないでください。
・汚れが残ったまま使用すると効果が弱まります。できるだけ汚れを落としてから使用してください。
・漂白作用があります。容器の使用上の注意を確認してください。
・商品により塩素濃度が異なるので表示などを確認してください。

目黒区HP
https://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/hoken_eisei/shinryo/yobo/jiaensosannatoriumuekinotukurika.html


注意事項はありますが、原料が安価で手に入りますのでこういった次亜塩素酸ナトリウムとすぐに使えるスプレータイプの次亜塩素酸水を用意して使い分けていただくというのが良いかもしれません。

いずれにしてもせっかくついた除菌習慣を継続し、ご自身の病気の予防と健康管理に役立てていただきたいと思います。