今注目の次亜塩素酸水とアルコールの違いとは


最近は新型コロナウイルスの影響で除菌・殺菌の習慣がついたという人も多いと思います。そんなみなさんは一体どんな除菌剤を使用しているのでしょうか。

多くの人がまず頭に思い浮かべるのはアルコール除菌ではないでしょうか。そしてアルコール除菌液が品薄になって手に入らなくなって急激に注目を集めているのが次亜塩素酸水です。

例えば楽天の除菌剤ランキング(https://ranking.rakuten.co.jp/daily/208238/
10位までを見てみると第1位~第4位までと8位、9位の上位を含む6商品がアルコール除菌でした。そしてそれ以外の5位~7位、10位が次亜塩素酸水の商品となっています。(2020年5月末時点)

しかし、実際にアルコールと次亜塩素酸水では一体どちらを買う方が良いのでしょうか。そもそも次亜塩素酸水って本当に効果があるのでしょうか。

購入する際に悩んだ方も多いと思いますので、今回の記事では次亜塩素酸水とアルコールのどちらの方が除菌剤としておすすめか徹底的に比較して解説したいと思います!

※次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムを混同されていらっしゃる方がいます。次亜塩素酸ナトリウムを水で希釈したものを次亜塩素酸水とは言いません。次亜塩素酸ナトリウムは人体に害もありますので取り扱いには十分注意が必要です。

消毒用アルコールと次亜塩素酸水のメリット・デメリット

①歴史

アルコールを消毒に使うという行動は古くは原始時代に遡ります。つまり人類は経験でアルコールは消毒に聞くと知っていたのです。
そんな昔から消毒用アルコールは除菌剤として使用されているため、様々な研究により効果が立証されています。そのため消毒用アルコールの除菌効果を疑う人はいないでしょう。
しかし、次亜塩素酸水はまだ除菌剤として歴史の浅い水溶液です。塩素濃度や酸性やアルカリ性を示すpH濃度は同じでも生成方法が違ったり、そもそも塩素濃度やpH値を記載していなかったりと商品によって違いがあります。そういった点で残念ながら一般的に次亜塩素酸水に対して言われているほどの効果や安全性が保たれていない商品もあるように感じます。とはいえ、アルコール消毒の商品でもアルコール濃度70%と記載されている商品が実際には5%程度しか入っていなかったというニュースもありましたから、そうなってしまうとなかなか見抜き用がないという側面もあります。

②皮膚への刺激

最近のアルコール消毒液は基本的には保湿剤などが一緒に配合されていますので極端に使用しすぎなければそこまで手荒れを心配する必要はありません。
しかし、肌が弱い方やそれなりの頻度で使用する場合にはやはり肌への刺激が強く肌荒れしやすいという点はアルコール除菌のデメリットになってきます。
その点次亜塩素酸水は刺激がなく手肌に優しいのが特徴です。

③可燃性

アルコール消毒液は引火しやすいので使用する場所や保管方法には十分注意が必要です。タバコを吸う人の近くで噴霧したり、キッチンでガス台のそばで使用したり保管したりすると火事になる可能性もあります。特に真夏は直射日光の当たる車の中に放置するだけで大変危険ですので注意が必要です。
しかし次亜塩素酸水は可燃性ではありませんので引火という心配はありません。

④保存方法

アルコールは揮発性が高いので一度開封してしまうとしっかり保管しなければすぐに効果がなくなってしまいます。私の知人でアルコール除菌シートの詰め替えの袋をそのまま携帯している人がいますがこれではすぐにアルコール成分が蒸発してしまって除菌効果が低くなってしまいます。専用ケースですとアルコールの揮発を防ぐための作りになっているのでしっかり専用ケースに入れるようにしましょう。
この点については次亜塩素酸水も注意が必要です。次亜塩素酸水は通常劣化しやすく、時間とともに効果が低減してしまう可能性が高いのです。
要するにアルコールにしても次亜塩素酸水にしても除菌力が高いのは開封直後でそこからは徐々に効果が落ちていくことを意識してほしいと思います。今はまだ商品不足もあってついつい節約して使いたくなりますが、古い除菌剤は効果がなくなっている可能性もありますのであまり長時間使用しないように気を付けましょう。

⑤臭い

アルコールはどうしても臭いがあります。これも最近の商品はそんなに気にならないものも多いと思いますが、過敏な人や苦手な人にとっては嫌な臭いが残りますよね。これについては次亜塩素酸水には塩素臭などもなくほとんど臭いが気になりません。それどころか嫌な臭いを発生させる菌やウイルスを死滅させるため消臭効果もあると言えます。

⑥使える場所

上述の通り引火しやすいので火器の近くではアルコール消毒は使用できませんが、それだけでなく、濡れている場所も使っても効果がないと言われています。このため、例えば食卓を拭くふきんを濡らしてからアルコールをつけて食卓を拭いてもあまり意味がないのです。その点、次亜塩素酸水は濡れている場所でも効果は変わらないと言われています。

⑦効果のある菌やウイルス

一般的にアルコール除菌ではノロウイルスには効きづらい(死滅に時間を要する)と言われています。その点で言えば対応できるウイルスや菌の種類は次亜塩素酸水の方が幅が広いと言えます。また、次亜塩素酸水はウイルスとくっつくと水に変わりますので残存性も低く安心です。

2020年5月末現在、厚生労働省の発表では新型コロナウイルスに次亜塩素酸水が効果があるかどうかはまだわかっていませんが、一部の次亜塩素酸水ではウイルスの減少も認められています。また、新型コロナウイルス以外にもインフルエンザなどの感染も抑えたいですよね。そういったウイルス対策には次亜塩素酸水も効果があると言われています。

まとめ

以上のようにアルコールと次亜塩素酸水の違いを理解していただけましたでしょうか。

次亜塩素酸水については上述した通り歴史が浅いため、まだまだ効果があるのかどうか、人体に本当に害がないのかどうかというような議論が行われています。

多くの商品サイトで謳われていますが、次亜塩素酸水は食品添加物に指定されています。
しかしそれをもって安全というわけではありません。実際に食品添加物として使う際にも「次亜塩素酸水は、最終食品の完成前に除去しなければならない。」と規定されています。(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002wy32-att/2r9852000002wybg.pdf

また、次亜塩素酸水の種類としては以下の3種類に分けられます。

次亜塩素酸水の種類

名称                         pH     有効塩素濃度(ppm)           別名

強酸性次亜塩素酸水          2.7以下*           20~60  強酸性電解水

弱酸性次亜塩素酸水          2.7~5.0 10~60  弱酸性電解水

微酸性次亜塩素酸水          5.0~6.5 10~80  微酸性電解水

ウィキペディア

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%A1%E4%BA%9C%E5%A1%A9%E7%B4%A0%E9%85%B8%E6%B0%B4

次亜塩素酸水という名目で販売している水溶液の中でも塩素濃度(ppm)やpHの値が同じでもその生成方法は異なっていたり、そもそも重要な塩素濃度やpH値が記載されていなかったりします。

また、次亜塩素酸水は上述の通り25℃以下の暗所保管をすることが大切です。しかし商品自体にそういった記載がなかったり、そもそも書いてあっても読まなかったりして直射日光の当たる場所や高温多湿の場所に保管してしまうとすぐに劣化してしまう可能性もあります。更には次亜塩素酸水のボトル自体も遮光性があるかどうかなども重要です。そういった意味では自分で希釈して利用するタイプだと遮光性があるタイプのボトルに入れないで使うケースも多いと思いますので手指に消毒する際などは十分注意してください。

同様に空間噴霧についてもいろいろ言われていますが、これも上記のような製品自体の劣化やそもそも指定外の加湿器を使っていたり、自分で希釈するタイプで容量を間違っていたりするということも考えられます。

もちろん長時間人体に浴び続けた時の影響などは調査していないと思いますので何があるかわからないということもあるかもしれません。ご不安に思われる方は自宅にいるときではなく外出時に加湿器をつけておいて人のいない間に噴霧しておくという方法をとるのが良いかもしれません。また、専用の加湿器を一緒に販売しているメーカーもありますのでそういった専用加湿器を使うのも良いかもしれません。

いずれにしても次亜塩素酸水を使用する際は各メーカーのホームページや使用方法などをよく読んでちゃんとした製品かどうか自分が使っても問題ないかどうかご自身で判断の上使用するようにしてください。ネット上には様々な情報が溢れていますので、ご自身の目で見て正しい情報を選択するように気を付けましょう。

今やこういった除菌剤は毎日使うものになりましたので、様々な除菌剤を利用箇所や利用方法に応じて活用してくのが良いと思います。ぜひ病気の予防に役立ててください。